1. 近視の進行を抑制する点眼治療「マイオピン」
当院では、アトロピンというお薬を1日1回点眼することによって近視の進行を抑制する治療を行っております。治療には低濃度アトロピン(マイオピン)を使用します。この点眼薬は、アトロピンを配合させた点眼薬で、Singapore National Eye Centre(SNEC:シンガポール国立眼科センター)の研究に基づいて開発されたものです。
このマイオピンにはアトロピン0.01%および0.025%配合の2種類があり、患者さまの状態により使い分けます。
現在、国内でも7大学(旭川医科大学、大阪大学、川崎医科大学、京都府立医科大学、慶応大学、筑波大学、日本医科大学)にて臨床研究が行われています。当院の目薬も国内臨床研究と同じ目薬を使用しています。
2. 近視の進行を抑制することが大切な理由
子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれ生じるケースが多くあります。近くを見ることが習慣化してしまうと近視になりやすく、一度眼軸長が伸びてしまうと戻ることはありません。そのために眼軸長の伸びを抑えることが、近視の進行を抑制するためには重要となります。
また、近視は高度な近視の場合、回復不可能な視力喪失、黄斑変性症、網膜剥離、または緑内障に発展する可能性もあるといわれています。低濃度アトロピン(マイオピン)には眼軸長を伸展させる働きに関連するムスカリン受容体をブロックする効能があると言われています。
3. マイオピンの研究報告
シンガポール国立眼科センター(SNEC)の研究では以下のような報告がされております。アトロピン0.01%の効能・効果及び安全性は点眼を2年間継続した後によるものです。
- アレルギー性結膜炎及び皮膚炎の報告はありませんでした。
- 眼圧(IOP: Intraocular eye pressure)に影響を与えないとの報告でした。
- 白内障を形成するとの報告はありませんでした。
- 点眼終了後も目の遠近調節機能の低下、また瞳孔がひらき続けてしまうという報告はありませんでした。
- 電気生理学上、網膜機能に影響を与えるという報告はありませんでした。
出典:Chia A, Lu QS, Tan .Five-Year Clinical Trial on Atropine for the Treatment of Myopia 2: Myopia Control with Atropine 0.01% Eyedrops Ophthalmology. 2016 Feb;123(2):391-9
4. マイオピンの治療効果
2年間の使用で近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
5. マイオピンの特徴
- 副作用がほぼ皆無の近視抑制薬です。
- 近視の進行を平均60%軽減させると言われています。
- 目の遠近調節機能(手元を見る作業)に殆ど影響を与えません。
- 毎日就寝前に1滴点眼するだけの、非常に簡単な治療法です。
- 目薬(1本5㎖)は両眼用で1カ月の使い切りです。
- 点眼薬はGMP(医薬品製造管理および品質管理基準)準拠の工場で製造されています。
- 日中の光のまぶしさに影響を及ぼさないため、サングラスもほぼ不要です。
6. 治療の対象となる方
- 軽度から中等度(-1.0D~-6.00D)程度の近視で6歳~15歳の方
15歳を過ぎても近視は進行するので適応となる場合があります - 3カ月ごとの定期的な通院が可能な方
検査・診察による治療効果判定のほかに合併症が生じていないかのチェックも行いますので、予定された再診期日を守れない傾向がある場合は、治療を継続できないことがあります。年齢にもよりますが2年以上の継続をお勧めします。当院では、まず2年間使用していただき、効果判定をしながら治療の継続の可否について、ご相談させていただいています。 - 就寝前の点眼が毎日可能な方
目薬は感染症などのリスクを避けるため、開封後してから1カ月後に必ず破棄していただきます(残量があって破棄)
7. マイオピン治療の費用
マイオピンの治療は自由診療です。
健康保険や医療費助成制度は適応されません。
マイオピン0.025%
初回 治療費用 |
マイオピン1本 + 検査・診察 |
5,000円 (税込) |
---|---|---|
3カ月ごとの 治療費用 |
マイオピン3本 + 検査・診察 |
15,000円 (税込) |
※0.025%製剤は0.01%製剤と比べ、より優れた近視進行抑制効果を示すことが確認されていますが、0.01%製剤よりもまぶしさが感じやすくなる場合があります。
8. 「親子で学ぶ近視サイト」について
日本近視学会監修による近視予防サイトです。
近視人口は世界的に増加しています。近視だからと言ってあまく見てはいけません。
運が悪ければ、失明になる可能性もあります。
予防できる場合もあるので、しっかりとした知識を身につけていきましょう。
スマホからもご覧いただけます
※「マイオピン」の詳細についてはコチラ
マイオピン – お子様の近視進行抑制点眼薬 – Myopine™(myopine-eyelens.sg)